FTPコード(火災試験方法の適用に関する国際コード)

 

1.FTPコードとは

海上における人命の安全のための国際条約(SOALS条約:International Convention of Safety of Life at Sea)で船舶に設備される防火用材料の火災試験方法、評価、承認の手続き等を定めたもので、International Code for App1ication of Fire Test Procedures(火災試験方法の適用に関する国際コード)を省略して「FTPコード」と呼びます。

Ø  2010 FTPCode〔日本語〕.pdf

 

2.FTPコードの沿革

〇 FTPコードの制定

船舶の火災安全に関する規則(以下、「防火規則」)は、1974SOLAS 条約 附属書第Ⅱ-2章(以下、「SOLAS-2章」)に規定されており、人命の安全の確保及び火災による損害の防止を目的としています。

防火規則は、船舶の火災事故等の発生の度に改正され、船舶の火災安全措置は大きく改善されましたが、規則そのものは複雑となり、また不明確な点も生じてきたため、国際海事機関(IMO)では、防火規則を全面的に見直すとともに、火災試験方法、防火性能の評価方法、承認手続き等を「International Code for App1ication of Fire Test ProceduresFTP コード)」として纏められました。

改正防火規則とFTP コードは、SOLAS-2章の1996改正(MSC決議57(67) 199612月採択)により強制要件として199871日に発効しました。

 

〇 FTPコードの改正

改正防火規則及びFTPコードの発効(199871日)から約10年間が経過し、次のような見直しの必要性が生じたことから、最新の国際規格や新たな知見を採り入れて総合的に見直すべきとの日本提案により検討が開始され、IMO(国際海事機関)/MSC(海上安全委員会)において、決議MSC.307(88)2010123日に採択されました。

これにより、FTPコードが全面改正され、「2010FTPコード(2010年火災試験方法の適用に関する国際コード)」が、201271日に発効しました。

 

(主な見直しの理由)

n  FTPコードの運用において、同コードの改善が必要な点が指摘された。

n  新技術の開発により、FTPコードでは想定していなかった新規の防火材料やシステムが出現し、船舶の火災安全性を確保する上で適正な対応が必要となった。

n  FTPコードの導入以降、統一的な試験方法の確立のために多くの解釈案が提案され、その内の幾つかはMSC/Circularとして承認される一方、幾つかは規則改正にあたると判断されたものがある。

n  FTPコードの試験方法として引用しているISO規格には、FTPコード導入後に改正されたものがある。

Ø  FTP改正説明資料(国交省).ppt

Ø  FTPコード試験の改正点(RIME説明資料).pdf

Ø  FTPコード各規定相関図.pdf

 

3.FTPコードの概要

船舶における火災安全の基本的な考え方は、「①出火の防止(可燃物の制限、可燃物への着火防止等)」、「②火災の早期発見(火災発生区画での早期発見、通報等)」、「③火災拡大の阻止(防火仕切りの設置、出火場所での消火等)」、「④安全な避難手段(避難経路の確保等)」であり、各項目について技術要件が規定されています。

それらの要件に対応して、船舶の構造・設備には、次のようなものが要求されます。

  :燃えにくい材料の使用 等

  :火災探知及び警報装置 等

  :防火仕切りによる区画分け、固定式消火装置等の設置、各種消火器等の備え付け 等

  :集合場所までの避難のための脱出設備 等

それらの材料、機器等がSOLAS条約の技術要件に合致しているかを評価し承認する為に、各国主管庁や船級協会には「型式承認制度」があります。

船舶に使用される防火材料に要求される基本的要件は、「出火の防止」と「火災拡大の阻止」ですが、防火材料には使用される製品(場所)に応じた技術要件が定められており、これらは国際的に統一された試験方法(FTPコード:International Code for Application of Fire Test Procedures (火災試験方法の適用に関する国際コード)により評価されます。

 

FTPコードの構成

 

試験項目

適用規格/対象品

本文

 

 

Part1

不燃性試験

Non-combustibility test

ISO 1182

防熱材

Part2

煙・毒性試験

Smoke and Toxicity test

IS0 5659-2

表面仕上げ材、塗料、一次甲板床張り材

Part3

"A","B" 及び "F"級仕切りの試験

(標準火災試験)

Test for "A","B" and "F" class divisions

IMO A.754

防火仕切り隔壁、甲板、防火戸、窓、電線貫通部、防火ダンパー

Part4

防火戸制御機構のための試験

Test for fire door control systems

IMO A.754

防火戸制御機構

Part5

表面燃焼性試験

Test for Surface flammability

表面仕上げ材、床表面材、一次甲板床張り材、塗料(壁、天井、床の表面仕上げ材)、接着剤

Part6

(空欄)

(一次甲板床張り材をPart5に統合)

Part7

鉛直に支持される織物及びフィルム(カーテン類)の試験

Test for Surface flammability

IMOA.471(12)IMOA.563(14)

カーテン

Part8

布張り家具の試験

Test for upholstered furniture

IMO A.652(16)

座席のシート部

Part9

寝具類の試験

Test for bedding components

IMO A.688(17)

寝具(ふとん、ベッド、カバー類、まくら等)

備考: Part 10及びPart 11については、当センターで試験を実施していないので省略します。