防爆試験
1.試験概要
可燃性ガスが存在する雰囲気で使用する電気機器は防爆構造であることが要求されます。
防爆構造を確認するために試験規格として、IEC60079シリーズがあり、国内独自の規格である、厚生労働省所管の“防爆構造規格”もあります。
防爆構造のグレードで以下に示す構造がありますが。当センターで実施している防爆構造は耐圧防爆、安全増防爆、本質安全防爆の3種類です。
その中の爆発性雰囲気がグループⅡで爆発等級がⅡA、ⅡB、ⅡCで試験が可能です。
各試験の概要は以下のとおりです。
(1) 耐圧防爆構造 ”d” IEC60079-1(JIS C60079-1)
電気機器の容器を強固にした構造であり、機器内部で爆発が起きても容器に破損や外部へ火炎の伝播がないものであることが要求されます。
試験は以下の内容で行います。
・爆発強度試験(基準圧力試験、過圧試験)
機器内部に試験ガスを充填し、爆発させたときに、破損、変形の有無を確認する試験です。通常は1種類のガスで試験しますが、圧力重積が起きた場合は2種類のガスの混合ガスで試験することになっております。
・爆発引火試験
試験槽に機器を置き、試験槽、機器内部ともに試験ガスを充填し、機器内部で爆発させたときに機器の隙間から試験槽の試験ガスへの引火の有無を確認する試験です。
(2) 安全増防爆構造 “e” IEC60079-7(JIS C60079-7)
通電中の機器の表面温度上昇の制限や防塵、防水構造であることが要求されます。
試験は通電した時の表面温度上昇の測定、IP(防塵、防水)試験等で確認します。
(3) 本質安全防爆構造 “i” IEC60079-11(JIS C60079-11)
機器の電気回路が爆発性ガスに点火するほどのエネルギーが無いことを要求される
構造です。
試験は電気回路の最悪の故障状態を再現し、実機又はその状態を模擬した擬似回路を使用して火花点火試験機という試験機に接続して試験ガスを充填した容器内で擬似回路を400回ON-OFFしてスパークを発生させ、そのスパークによって爆発の有無を確認する試験
です。
その他、各防爆試験に共通に適用される試験として、重錘落下衝撃試験、温度上昇試験、IP試験等があります。
2.申し込み・問い合わせ上のお願いや注意事項
耐圧防爆試験を行なう場合、ガスの給排気、爆発圧力測定等のために試験品の加工が必要です。この加工はお客様で行ってください。
詳細内容は以下のとおりです。
(1) 端子箱、制御器等
試験ガスの給気、排気に2箇所、爆発圧力測定センサに1箇所、点火用に1箇所の計4箇所にPF3/8のタップを切ってください。タップは十分に深く切ります。
点火用と圧力測定用の位置は出来るだけ対面に配置できるようにしてください。
また4箇所にタップを切ることが困難な場合はガスの給排気を1箇所で兼用して計3箇所でも構いません。
(2) 回転機
試験品は回転状態と停止状態で試験を行いますので、回転用のモータを用意して連結することが必要です。
圧力測定は負荷側の空間と反負荷側の2箇所で同時に測定する必要があり、点火位置もそれぞれ必要です。